# 駐在員を送るか、イタリアで現地採用するか:EOR・業務委託・現地法人の選び方

> イタリア進出で日本企業が最初に迷う「駐在員か現地採用か」。EOR、業務委託、現地法人の違いを、人数・リスク・スピードの3つの観点で整理します。

イタリアに拠点を置くと決めたとき、日本企業の多くはまず「誰を送るか」を考えます。ところが実際に必要なのは、顧客や仕入先とイタリア語で毎日やり取りし、何年も同じ担当でいてくれる人であることがほとんどです。それなら、駐在員を送るより現地で採用するほうが合っているかもしれません。

この記事では、イタリアで人に働いてもらう方法を並べ、どの場面でどれを選ぶべきかを整理します。細かな法的論点は、方向性を決めてから専門家に確認すれば十分です。

## 4つの方法

**駐在員。** 日本本社の社員をイタリアに赴任します。本社の方針、技術、品質基準を現地に移すには最適です。一方で、海外勤務手当、住居、帯同家族の教育、一時帰国などの費用がかかり、3〜5年で交代するのが普通です。

**Employer of Record(EOR)。** 現地の事業者が法的な雇用主になり、貴社は日々の仕事を指示します。給与計算、契約、社会保険、法令対応はEORが行います。採用された人はイタリアのルールに基づく本物の従業員です。

**業務委託。** 個人の専門家と契約し、請求書で支払います。給与計算は不要ですが、従業員のように勤務時間ややり方を管理することはできません。

**自社の現地法人。** イタリアに会社を設立し、直接の雇用主になります。会計、給与計算、登記上の住所、継続的な届出が必要です。

## 比較表

| | 駐在員 | EOR | 業務委託 | 現地法人 |
|---|---|---|---|---|
| 向いている人数 | 少数の要職 | 数名まで | 短い単発の案件 | 大きく安定したチーム |
| リスク | 費用と交代 | 貴社には低い | 雇用とみなされると高い | すべて貴社が負う |
| 開始までの速さ | ビザ次第 | 速い | 最も速い | 最も遅い |
| 準備の手間 | 中 | 最小 | 最小 | 大 |
| 撤退のしやすさ | 帰任で可能 | 高い | 高い | 低い |

表は列ではなく行で読んでください。どの行がいちばん痛いかで、答えはたいてい決まります。

## 人数で考える

1人目や少人数のチームで現地法人を作る意味はほとんどありません。会社を運営する固定の手間は、従業員が2人でも20人でも大きく変わらないからです。

チームが大きくなると計算が変わります。法人は設立の手間がかかりますが、1人あたりの運営コストは人数とともに下がります。EORの料金は1人あたりの費用に近いので、どこかで法人のほうが安くなります。その分岐点は給与水準、計画、どれだけ長くいるつもりかで決まります。

## リスクで考える

業務委託は安く簡単に見えます。危ないのは偽装請負とみなされることです。決まった時間に働き、貴社のツールを使い、貴社の管理職に報告し、貴社だけのために働くなら、当局は従業員として扱う可能性があります。そうなれば保険料や税金の追徴と罰金が生じます。仕事の実態が「社員」なら、社員として雇ってください。

EORなら雇用の法令対応の大部分を、それを毎日行っている事業者に移せます。マネジメントの判断は貴社のものですが、書類の責任は負いません。

## 駐在員と現地採用を組み合わせる

多くの日本企業にとって現実的なのは、どちらか一方ではなく組み合わせです。本社とのつなぎ役となる駐在員を1人だけ置き、顧客対応、サービス、調達、事務は現地採用で固める。あるいは駐在員を置かず、日本からの出張と本社の管理で回す。

駐在員の社会保険については、2024年4月1日に日伊社会保障協定が発効し、一時赴任の場合は年金の二重加入を避けられるようになりました([日本年金機構](https://www.nenkin.go.jp/service/pamphlet/shaho-kyotei.files/ItalyPamphlet.pdf))。現地採用の従業員はイタリアの制度に加入し、年金はイタリアで積み上がります。

## 選び方の目安

- **市場テスト、最初の採用:** EOR。インフラを作らずに市場を学べます。
- **終わりの決まった案件:** 本人が自分の裁量で仕事を進めるなら業務委託も可。
- **本社の技術・方針の移転:** 駐在員を1人。周りを現地採用で。
- **長期的に成長するチーム:** 現地法人を計画し、準備期間はEORでつなぐ。
- **役割の境界が曖昧:** 業務委託は避け、きちんと雇用する。

段階的に進めれば初期費用を抑えられ、柔軟性も保てます。法人を作る前に、イタリアのチームが実際にいくらかかり、何を生み出すのかという本物のデータが手に入ります。日本との制度の違いは[イタリアと日本の比較](/italy-vs-japan.html)にまとめています。

[費用シミュレーター](/calculator.html)で、現地採用1人の総コストを試算してみてください。

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Source: https://italykoyo.com/articles/expatriate-vs-local-hire-italy-eor.html · 2026-10-05
