給与ガイド

イタリアの給与は何でできているか

オファーレターのRALから、従業員の口座に入る手取りまで。

額面から手取りへ

イタリアのオファーはRAL(年間給与総額)で示します。日本の「額面年収」に近いですが、賞与を含めた年収総額が契約で固定されている点が違います。RALは年13回、商業・サービスなどの協約では14回に分けて支払い、13か月目は12月、14か月目は6月か7月です。

毎回の給与総額から、雇用主は次を源泉控除します。

  • 従業員負担の社会保険料、給与総額の約9〜10%。
  • 国の所得税IRPEF。累進で、給与所得の税額控除で軽減されます。
  • 居住地で決まる州と市の所得税付加税(日本の住民税に近いもの)。

給与総額の上に、雇用主は自らの社会保険料(約30%)、INAILの保険料、TFRの積立を負担します。具体例は費用シミュレーターをご覧ください。

[RAL €50,000の額面から手取りまでの計算例を、確認済みの2026年パラメータで作成予定。]

13・14か月目給与と賞与

  • 13か月目(tredicesima):全従業員に義務、12月に支給。
  • 14か月目(quattordicesima):商業・サービスなど、CCNLが定める場合のみ。通常6月か7月。
  • 業績・勤続による賞与:CCNL、社内協定、または貴社の方針で定めます。日本の夏冬賞与にあたるのはこちらです。

いずれも課税対象の給与で、通常の給与と同じく保険料がかかります。13・14か月目は月ごとに発生するので、年の途中で入社・退職した従業員は発生分を受け取ります。

給与明細の項目

項目内容
基本給(minimo tabellare)CCNLの等級ごとの最低額
上乗せ給(superminimo)CCNLの最低額を超えて合意した額
勤続昇給(scatti di anzianità)CCNLが定める、勤続数年ごとの自動昇給
残業CCNLの割増率で支払い。夜間・休日は高い
交替・深夜手当夜間、週末、交替勤務に対して
危険手当特定のリスクを伴う職務に対して
コミッション・変動給営業や目標連動の職務。給与として課税
業績賞与社内協定に基づく生産性賞与は軽減税率の対象になりうる

2026年は、年€5,000までの生産性賞与に通常税率ではなく一律1%が適用されます。

現物給付

  • 食事券(buoni pasto):電子式は1日€10、紙は€4まで税・保険料が非課税(2026年)。
  • 社用車(業務・私用兼用):車の排出量で決まる標準費用の一定割合に課税。
  • 医療保険:補完的な医療基金への拠出(多くはCCNLで定め)は年€3,615.20まで非課税。
  • 住居:雇用主が支払う・精算する家賃。移住パッケージで一般的。
  • フリンジベネフィット(ギフトカード、光熱費、燃料):年€1,000まで非課税、扶養する子がいる場合€2,000(2026年)。
  • 補完年金:従業員はTFRや追加拠出を年金基金に回せます。

保険料とその他の控除

  • INPSは年金、失業、傷病、出産、家族手当を賄います。従業員は給与総額の約9〜10%、事業主は業種・規模・契約形態により約30%を負担します。日本の労使折半とは比率が大きく違います。
  • 保険料の上限:1996年以降に初めて加入した従業員は、年間の報酬上限を超える部分に年金保険料がかかりません。2026年は€122,295。また年€56,224を超える部分は従業員の料率が1ポイント上がります。
  • INAILは事業主のみが負担し、料率は職務のリスク区分で決まります。
  • 組合費は組合員が希望すれば給与から控除します。
  • 年金基金への従業員の任意拠出。

所得税(IRPEF)

IRPEFは累進で、毎月源泉徴収されます。課税所得の区分ごとに税率がかかります。

課税所得税率
€28,000まで23%
€28,000〜€50,00033%
€50,000超43%

課税所得は給与総額から従業員負担の社会保険料を引いた額です。給与所得の税額控除が主に低めの給与で税額を減らし、その上に州と市の付加税が加わります。

事業主の保険料は何に使われるか

項目対象
年金(IVS)老齢・障害・遺族年金。最大の項目
失業(NASpI)失業給付
傷病・出産病気・出産休暇中のINPS給付(全区分ではない)
家族手当(CUAF)家族支援制度
TFR保証基金雇用主が払えない場合に退職手当を支払う
賃金保証基金操業短縮制度。業種と規模による
INAIL労災と職業病
TFRの積立退職手当として6.91%を積立(税ではなく従業員のもの)

[2つの例示CCNLについて、確認済みパラメータから項目別の料率を記入予定。]

公的年金の概要

保険料が従業員の公的年金をつくります。標準の老齢年金は67歳から、保険料納付20年以上が条件です。男性は保険料納付42年10か月、女性は1年短い期間で、年齢にかかわらず早期退職できます。

2027年から両方の要件が1か月、2028年からは3か月引き上げられます。日本での年金加入期間との関係は日伊社会保障協定をご確認ください(日本年金機構)。

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