# イタリアと日本の雇用ルールの違い

> 解雇、解雇予告、有給休暇、病気休暇、社会保険、賞与と13・14か月目給与、退職金とTFR、競業避止。日本企業がイタリアで現地採用する前に知っておくべき違いを一覧で比較します。


<section> <span class="eyebrow"><a href="payroll-guide.html">給与ガイド</a></span> <h1 id="italy-vs-japan">イタリアと日本、雇用ルールはどこが違うか</h1> <p class="lede">駐在員を送る代わりにイタリアで現地採用するとき、日本の人事・経理担当者が最初につまずく点をまとめました。イタリアでは多くのルールが雇用契約書ではなく、業種ごとの全国労働協約(CCNL)で決まります。</p> </section> <section> <div class="tbl"><table> <thead><tr><th>項目</th><th>日本</th><th>イタリア</th></tr></thead> <tbody> <tr><td><b>解雇</b></td><td>客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当でない解雇は権利の濫用として無効(労働契約法第16条)。<a href="https://jsite.mhlw.go.jp/ibaraki-roudoukyoku/yokuaru_goshitsumon/jigyounushi/jigyounushi_d/qa_jkaiko_tejun.html">茨城労働局</a></td><td>正当な理由が必要:重大な非行(giusta causa)、または客観的・主観的な正当理由。不当解雇では補償金や復職が命じられることがあります。考え方は日本に近く、「言えば辞めさせられる」国ではありません。</td></tr> <tr><td><b>解雇予告</b></td><td>少なくとも30日前の予告、または30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)(労働基準法第20条)。<a href="https://jsite.mhlw.go.jp/ibaraki-roudoukyoku/yokuaru_goshitsumon/jigyounushi/jigyounushi_d/qa_jkaiko_tejun.html">茨城労働局</a></td><td>期間はCCNLが職務等級と勤続年数に応じて定めます。数週間から数か月まで幅があり、退職する側(従業員)にも予告義務があります。</td></tr> <tr><td><b>試用期間</b></td><td>就業規則・契約で定めるのが一般的。試用期間中でも、14日を超えて雇用した場合は解雇予告が必要(労働基準法第21条)。<span class="review">[review]</span></td><td>契約書に書面で定めた場合のみ有効。長さはCCNLが定め、最長6か月。期間中はどちらからも予告なしで終了できます。</td></tr> <tr><td><b>年次有給休暇</b></td><td>6か月継続勤務・出勤率8割以上で10労働日。勤続に応じて増え、6年6か月以上で20労働日。<a href="https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/faq/kijyunhou_6_00001.html">厚生労働省</a> 年5日の取得を使用者が確保する義務あり。<span class="review">[review]</span></td><td>入社初年度から法定で年4週間以上。うち2週間はその年のうちに取得。多くのCCNLは有給の時間休(ROL)を上乗せします。消化率は高く、取らせるのが前提です。</td></tr> <tr><td><b>祝日</b></td><td>国民の祝日を休日とするかは会社が決めます(法律上義務づけられているのは週1日の法定休日)。<span class="review">[review]</span></td><td>全国12日の祝日と各地の守護聖人の日。有給で、年次休暇とは別枠です。8月の長期休暇は日本のお盆より長く、全社一斉になりがちです。</td></tr> <tr><td><b>病気休暇</b></td><td>法定の有給病気休暇はなし。業務外の病気で連続3日の待期後、4日目から健康保険の傷病手当金(標準報酬日額の3分の2、通算1年6か月)。<a href="https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/honbu/event/kohoshizai/47_sogo_syoute.pdf">協会けんぽ</a></td><td>医師の診断書でINPS(社会保障機関)と使用者が分担して給与を支払います。分担と雇用保護期間はCCNLで決まります。年次休暇を病欠に充てさせることはできません。</td></tr> <tr><td><b>出産・育児</b></td><td>産前6週間・産後8週間の産前産後休業(労働基準法第65条)、育児休業は育児・介護休業法による。<span class="review">[review]</span></td><td>出産休暇は義務で5か月、有給。父親休暇は10労働日、有給。その上に一部有給の任意の育児休暇があります。</td></tr> <tr><td><b>社会保険の事業主負担</b></td><td>厚生年金の保険料率は18.3%で労使折半(<a href="https://biz.moneyforward.com/payroll/basic/105505/">マネーフォワード</a>、二次情報)。健康保険・介護保険は都道府県・保険者ごとの料率を折半。子ども・子育て拠出金0.36%(令和8年度、事業主のみ)。<a href="https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo/ryogaku/ryogakuhyo/20200825.html">日本年金機構</a> ほかに雇用保険・労災保険。</td><td>INPSとINAILへの社会保険料が総額の約30%、すべて事業主の上乗せ負担(業種・規模で変動)。従業員負担は別に約9〜10%を給与から天引き。医療は税財源の国民保健サービスで、健康保険料の負担はありません。</td></tr> <tr><td><b>賞与</b></td><td>法律上の義務はなし。支給する場合は就業規則に記載(相対的必要記載事項)。<a href="https://jsite.mhlw.go.jp/tochigi-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/roudoukijun_keiyaku/roukijou/roukihou_point/kijunhou_kaisetsu/article89_90_92.html">栃木労働局</a> 業績で増減でき、夏冬の2回が一般的。</td><td>13か月目給与(tredicesima)はすべてのCCNLで義務、12月に支給。CCNLによっては14か月目(quattordicesima)を6月か7月に支給。業績に連動せず、減額もできません。年収(RAL)に最初から含まれています。</td></tr> <tr><td><b>退職金</b></td><td>法律上の義務はなし。制度を設ける場合は就業規則に記載。<a href="https://jsite.mhlw.go.jp/tochigi-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/roudoukijun_keiyaku/roukijou/roukihou_point/kijunhou_kaisetsu/article89_90_92.html">栃木労働局</a></td><td>TFR(退職手当)は法律上の義務。年間給与の約6.91%を毎年積み立て、退職理由を問わず退職時に支払います(民法典第2120条)。本サービスでは従業員が選んだ基金へ毎月拠出します。</td></tr> <tr><td><b>労働時間</b></td><td>法定労働時間は1日8時間・週40時間(労働基準法第32条)。超える場合は36協定が必要。<span class="review">[review]</span></td><td>通常の週40時間。残業を含めた平均で週48時間が上限。多くのCCNLはそれより短い所定時間を定めています。</td></tr> <tr><td><b>競業避止</b></td><td>法律に明文の規定はなく、期間・地域・職種の範囲や代償措置の有無などから裁判所が有効性を判断。<a href="https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/pdf/handbook/reference5.pdf">経済産業省資料</a> <span class="review">[review]</span></td><td>書面で、対価を支払い、期間(最長3年、管理職は5年)・地域・業務を限定した場合のみ有効。対価なしの競業避止条項は無効です。</td></tr> <tr><td><b>駐在員の社会保険</b></td><td>日伊社会保障協定は2024年4月1日に発効。対象は年金(日本:国民年金・厚生年金)と雇用保険(イタリア:年金・失業保険)。一時赴任では原則として日本の制度のみに加入します。<a href="https://www.nenkin.go.jp/service/pamphlet/shaho-kyotei.files/ItalyPamphlet.pdf">日本年金機構</a></td><td>現地採用の従業員はイタリアの制度に加入し、年金はINPSで積み上がります。協定の対象外の保険(労災など)はイタリアで加入が必要です。</td></tr> </tbody> </table></div> <p class="prose"><small>概要の比較です。日本側の情報は2026年11月に上記リンクで確認しました。[review] の項目は公式資料での再確認が必要です。イタリア側の数字は職務に適用されるCCNLによって変わります。</small></p> </section> <section class="prose"> <h2 id="budget">予算への影響</h2> <p>日本の人件費で大きいのは社会保険の折半分と、会社が任意で決める賞与・退職金です。イタリアでは社会保険料の事業主負担がより大きく、13か月目給与とTFRは任意ではありません。その代わり健康保険の負担はなく、CCNLの表に沿うので総額は予測しやすくなります。</p> <h2 id="planning">人員計画への影響</h2> <p>解雇に合理的な理由が要る点は日本と同じ感覚で考えて構いません。違いは手続きの形式と、CCNLで決まる予告期間です。試用期間をきちんと使い、職務内容を書面で明確にし、計画変更には予告期間を織り込んでください。駐在員1名を数年送る代わりに現地で1名採用するなら、住居や帯同家族の費用ではなく、この雇用ルールが比較の中心になります。</p> </section> <section> <div class="cta"><a class="btn" href="calculator.html">総コストを試算する</a><a class="btn ghost" href="contact.html">職種について相談する</a></div> </section>


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Source: https://italykoyo.com/italy-vs-japan.html
